Distant Lights” (2015)

本作は、河野が自身のアーカイブから発見した、数枚の暗闇のイメージをもとに制作された。それらの写真は、スイスのバーゼルを訪れた際に満点の星を深夜の公園で撮影したものであり、結果的に撮影は失敗に終わったことを示している。河野は闇の中に星を探して露出を調整したが、そこには星ともデジタルノイズとも見分けのつかない粒子が表示されるだけだった。一方で記憶の中では無数の星々が輝いており、その記憶/経験と、記録物として残った写真の噛み合わなさは、彼に記録物としての写真の在り方を再考させる契機となった。写真は人間の目と認識で捉えきれないものをも映し出すが、同時に写し出されていないものも数多く存在する。私たちはそのような曖昧な状態で解釈と納得を繰り返しながら、残されたイメージをもとに新たに記憶を形作っていくのである。思索の末、河野は現在拠点を置く金沢から地理的に遠く離れ、また記憶や時間の観点からも日毎に遠ざかっていく、かつて生活していたロンドンを中心としたヨーロッパで撮影された写真から本書を制作した。極限まで装飾を排したデザインや紙の選択、手の痕跡は、イメージの繊細さと脆さを一層際立たせている。







Title: Distant Lights
Artist: Yukihito Kono
Self published, 2015 for the first edition, 2022 for the second edition
Softcover, hand glue binging
182 x 130 mm
106 pages
100 copies for the first edition, and 100 copies for the second edition, hand numbered by the artist